前回のスロバキアのロックダウン①に続いて、まだまだロックダウン中なスロバキア第二弾です。
スロバキアのロックダウンもかれこれ1ヶ月以上となりました。ブラチスラバの町の中心ですら、本当に人通りが少なくガラーンとしていて静かなんです。
いや、流石にそろそろ、皆さん本当にどこにいるの?と不思議に思っていたのですが、ようやく判明しました。
山が無理なら丘に行こう。
とある雪の日、友人から丘へ行こうとお誘いが来ました。
山が好きなスロバキアの民、(過去記事:スロバキア人は山が好き)
「本当は山へ行こうと言いたいところだけど、仕方がないので今日は丘ですわよ」と。
というのも、刻々と調整され変化していくスロバキア政府からのお触れの内容が、その週のものでは、
1。県またぎのレジャーはダメだけれど、
2。自然の中でのレクリエーションは推奨されている。
とのことで、その二点をクリアするブラチスラバ内にある丘に行こうよ、とのお誘いでした。
前記事でも書きましたが、スロバキアの人々、コロナ関係の規律を結構きちんと守るんです。
マスク着用率なんて街中では100%だし、マスクしてない人をつまみ出すセキュリティーみたいな人も店の中にいるし、声がでかい人いたら客同士で注意しあってるし、ちゃんと気にしてます感が溢れてます。
規律がある、できないことがある、じゃあ許されている範囲の中で楽しもう、と許可された要素を組み合わせてカスタム仕様で柔軟に楽しみを見つけれるところがいいなぁと思います。
町で友人たちと待ち合わせ、やってきたトロリーバスに乗り込むと、結構な満員バスでした。
ここらから、しばらくご無沙汰だった人々の活気を既に感じ始めました。
終点まで誰も降りることなく、一目散に丘をグイグイ登っていくトロリーバス。
15分ぐらい後、バスを降りるとそこは真っ白な雪山でした。
レトロな木製の雪そりに親子3人でぎゅうぎゅう詰めに乗って、キャッキャと雪道を滑り降りてくる人たち。雪の坂道を器用にもマウンテンバイクで滑り降りていく少年。ザクザクピックを刺しながらしっかり坂道を登っていく老夫婦。雪の坂道をお尻で直接滑っていく親子。自分の腰ひもに幼い息子をくくりつけ、スキー講習をしているお父さん。それぞれ思い思いに雪と新鮮な空気を楽しんでいる光景とすれ違いながら緩やかな丘を登っていきます。
楽しい!!!っていう人々の笑顔が雪の大通りに溢れていて、
なぜか初詣に来たかのような気分と似たものを感じた、家族ぐるみのワイワイお祭り感の土曜日。
ああ、みんな、ここにいたのね!
通常なら町のとおりに溢れる景色が、まるっとスポッと丘の上に移ってきたのね!
ちょっと見晴らしのいいところには、こんな愛らしい山小屋フードスタンドが。
友人が子供の頃には既に存在していたそう。家族連れで来たおじいちゃん達が、ここでひっかかってしまって先に進まないという丘の上のパブ。
一緒に来た家族から離脱し、赤ワインを手に「ワシはここで待つ。」と居座ってしまうおじいちゃんが、30代の彼女が子供の当時、沢山いたそうな。
そのエピソード、目に浮かぶようやわ〜。自分の思い出じゃないのに、なんだか想像できすぎて、厚かましく一緒に懐かしささえ感じてしまいました。
ホットワインも、ソーセージも、キャベツスープだってなんだって売ってる丘の上の丸太小屋。
下界では色んなものが閉まっているのに、丘の上では、ちゃーんと言われた規制は守りながらビジネスさえもあきらめない活力が好きです。
キャッキャ言いながら元気にそりで斜面を滑り降りる子供達と、近くでホットワインを飲みながら決してその斜面を下には降りていかない大人たち。
うん、わかる。だってそこ、上がってくるリフトないもんね。
この日は、登ってきた側とは反対側、そのままま丘の向こう側にゆるい斜面を降りていく道沿いに散歩したのだけれど、そろそろ寒くなってきたな〜ちょっと歩いたもんね〜と人間が思い始めるあたりのバッチリの間隔でホットワイン小屋が道中待ち構えていて、そこで一息つき、また雪の中次のホットワイン屋を目指すという、ああ、そうそう、そうやねん、スロヴァキア人やっぱりわかってるわ〜と思う散歩道でした。
ちょっとどういう思考でそんなことをしようと思いつくのか理解不可能なのですが、この雪山をマウンテンバイクで登ってくる猛者もチラホラ。しかも、これ時々アイスバーンになってて滑ったりする雪道なんですよ、スロバキアの民やっぱり強靭やわ〜。
ここの丘のキノコについての説明の看板。どれ食べたら死ぬよとか、これはこのように調理したら美味しいとかの豆知識。ちょっとお勉強タイムですね。
そして、足腰の丈夫な年配カップルはスロバキアのどこにも出現する。かっこええ。
途中、湧水もあったよ。スロバキア、本当、どこの山に登っても絶対湧き水スポットがある。下の写真のように人間用の休憩スポットまでついてきてるのは滅多に見たことがないけれど、だいたいは木製の小さな祠みたいなところの下か、地面から剥き出しで水がコンコンと湧いてきている。
そしてところによっては、ちゃんと水質検査した期日まで記してあったりする。
ここのはキンキンに冷たすぎて、もはや味はわからなかったけど。
電動自転車の充電スタンド?みたいなのもあったり。
自然のアイススケートができるガッキンガッキンに凍った池。夏はきっとここでみんな泳ぐんだろうな〜。そして綺麗なお姉さんが岸に沢山いるのよ〜。。。うっとり〜。
(いや、もう本当に圧巻なんです。スロバキアのお姉さん達の夏のナイスバディ。もう、池の脇でクラクラするもん。)
外の暖炉みたいなのもあって、そこの周りに立って道中の暖をとって一息ついている人々。
優しく設計されてる丘の道だと思いました。
いやー
すっごく久しぶりに、笑顔溢れる人々を目の当たりにして、なんだかとっても幸福感が充電されました。思わぬ副作用。
町で目にする人々の笑顔や幸せそうな表情、その存在って通りすがりの赤の他人にもこんなにもエネルギーを与えてくれるものなんですね。
ロックダウンのような状態になって、やっと気づくことができたかつての日常に転がっていた幸せ。よし、その日常が戻ってきたらもっと大事に堪能しよう、と思いました。
そっか〜、そうね、スロバキアの人達はロックダウン中は山の中のコテージや近場の山の中で楽しんでいるんですね。
そういえば、スロバキアには全土に沢山のコテージがある。普段の家とは別に、冬や夏のゆっくりとした時間を過ごすコテージを持っている人が沢山いるし、スロバキア版ジモティーみたいなよろず屋ネット上でそれらを短期借りすることもできる。東西をつなぐ電車に乗っても、車窓から可愛いいコテージが川沿い線路沿いに沢山見える。薪でも燃やしながら、雪山のコテージでゆっくり時間を過ごしたなら、ロックダウンなんて恐れることないね。
そういえば、去年は東京で緊急事態宣言を経験した。当時東京のステイホーム対策では、山にも行ったらいけないし、公園も封鎖されていたり、ビーチすらも封鎖されていて、散歩すら憚られるような、部屋に閉じ込められている状態でしたよね。まあでも、当時は未知のウイルスだったから仕方がなかったのかもしれないですが。
あれは丁度、ヨーロッパに戻る寸前のタイミングで渡航制限が出たので、もちろん渡航延期になり、決まっていた展示や制作などの仕事の予定がまるっと一年一気に無くなった上に、ニュースを読めば読むほどx世界中が悲しい出来事ばかりで世紀末的絶望感が激しく、東京でのミニアパートメントに封じ込められたままどこにも行けずに誰にも会えずに世界の終わりを思い続ける状況にすっかり腐り切ってしまった私は、ひたすらソファーの角に座ってガリガリと絵の世界に現実逃避しながら、気づけばワインをガンガン開けはじめていました。ちょこっと嗜むつもりが、いつの間にやら、どこからどこが酔っ払ってるのか境界があやふやになりなり始め、ほとんど危うく酒に飲まれるところでした。いや〜、危ない危ない、おっとっと。これはまずいんではないかと思い、ちょっと制限が解除された隙に、自然にどっぷり浸りに行きました。しばらく海に浸ったら、今度は逆にすっきりさっぱり体が酒を受け付けなくなりました。自然尊し。自然、偉大!
(渡航禁止で日本にいたことで出会えた素敵なお仕事や出会いがあったので、結果としてはいれて良かったのですが。)
自然をとりあげられ箱に閉じ込められる辛さを存分に味わったので、こうやってスロバキアのように、一番厳重なレベルのロックダウンの時期でも、自然の中を歩いてもいいよ、外でなら人とも会って一緒に散歩してもいいよ。PCR検査やAG検査、受けたかったらいつでも町の至るところで無料で受けていいよという、メリハリのある規制と税金の使い方をしてくれるのは、信頼でき建設的な対策なのではないかと外国人の立場からは感じました。(もちろん私のわかっていないことも沢山ありますが。)
このスロバキアのメリハリ対策のおかげか、今回のスロバキアでのロックダウンでは去年の東京の状況よりも厳しい、スーパーしか開いていないという状況にも関わらず、全く腐らずに、時々自然での散歩で息抜きと体を動かしながら、結構前向きに制作と生活ができています。まあ、2回目だから、これは永遠に続く状態ではなく、いつかいつかは夜が明けるのがわかっているから、気持ち的に思い詰めずに気楽におこもりさんができるのかもしれませんが。
と言ってもやはり人恋しいですが。
おまけーーーー
バス乗り場にある、新鮮な乳製品の自販機。
次は、スロバキアのコロナテスト体験について書こうかなと思います〜。
それでは、また。
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