12月半ば、世界中が第三波のニュースで持ちきりで、再度国境の制限を引き締めたりする国も出てきたような時期なのですが、プロジェクトの再開でスロバキアへ向かった。
スロバキア自体も街がロックダウンしていたし、スロバキアの友人からは「今は戻るな!命大事に!」的な、まるで戦地からの電報のようなメッセージをちらほら受け取ったりもしたため、正直本当に今行っていいものかちょこっと考えたけど、待っていてもいつ収束するかわからないものなので、行くことにした。
ネットの渡航情報には、日本はウイルスキャリアーの少ない低リスク国にリストされているため、スロバキアへは、PCR検査やインビテーション的なビジネスレターも特に必要ないと書いてあった。念のため、大使館に電話もしてみたけど、超ポジティブな「入国渡航問題無し!」の返答がきたのでレッツゴー。
コロナ期になってからも、国内線は結構あれこれ利用した。夏を過ぎると、空港のチェックイン前後ともに、シャッターを降ろしている店が何軒かはあるものの、お店やレストランは大体開いてたし、どこ行きのどの便に乗っても定員90%ぐらい乗客がいた。一転、今回国際線ターミナルは、人の気配のないガラーンとした場所に様変わりしていた。店という店が閉まっており、1階のコンビニしか空いてない。
荷物検査後の中もガラーン。
荷物検査もパスポートコントロールも並ばなくていいから超楽だけど、なんとも寂しい光景。
今回は、トルコ航空。
4月にヨーロッパに戻るつもりで買っていた航空券が、コロナ第一波で世界中鎖国になったためキャンセルとなり、返金の代わりに戻ってきた振替えバウチャーが残っており、今回はそれを使った。往復で14万円ぐらいだから、通常より割高感。(過去最高に安かったチケットは、スウェーデンー東京間、フィンエアの、お値段なんと200ユーロ!20キロの荷物2個付き!)
日本からの便だけど、乗客に日本人は他に2組ぐらいしかおらず、ほとんど外国の方ばかりでした。まあ、時期的にね。
飛行機に乗り込む時の機体へと続くあの空中廊下で、いつもだったら新聞とかをくれる場所に積んであったのが、”Hijyen seti”とトルコ語?で書かれた衛生セット。
一人一個づつ手渡される。
開封の儀
・マスク3枚
・アルコールウェットティッシュ2セット
・アルコール1本
うーん。なかなかにパンデミック。
座席は一人一列もらえました。
隣の列のプリっとした日本人のお姉ちゃん。正気を疑いたくなるほどの薄着にマイクロ短パンで、席に着くなりスニーカーを脱いで、どかーんとあぐらを組み、鞄の中から颯爽とワインボトルを取り出した。お尻まで届く真っ直ぐサラサラの長い髪をかきあげかきあげ、プリプリ動く彼女。若さが弾ける〜。
まだ荷物を棚に上げている人もいる最中、キュポンとワインボトルを開け、ゴッキュゴキュ飲み始める彼女。
飛行機のワインを待たずして、すでにワインボトルラッパ飲みとかすんごい気合い入ってるわ〜。と思っていたんです、その時は。
飛行機がゆっくり動き始め、あのお決まりの緊急事態時の呼吸器の付け方のビデオが流れ始める機内、その後に流れたもう一本のビデオが、これまたパンデミってました。
その内容とは。
家族旅行。マスクやシールドなどウイルス対策重装備にもかかわらず、それが通常のように常に笑顔満々でキラキラ旅行をしている両親と男の子が、自動検温期を通って技術に感激(キラキラ〜)、自動アルコールスプレーを使って、よし、消毒!(キラキラ〜)、スーツケースをバズーカみたいな消毒液が吹き出る機械でブッシュ〜〜〜と洗浄してもらってるのを目撃した男の子、わ〜、安心!(キラキラ〜)、自分のお気に入りのぬいぐるみも検温してもらった。テヘッ。(キラキラ〜)、みたいなのの末に旅先のホテルの部屋に着く。やった〜!ようやくマスクを外してプールに飛び込む。家族全員満足ハッピーキラキラ!みたいなビデオ。
パンデミってますよね。このビデオをわざわざ作ったという事実や、配られる消毒キットにちゃんとロゴまで入ってデザインして作っていることを考えると、ああ、世界はこれがデフォルトになるように向かっていっているのかな、とちょっとなんとも言えない気持ちになりました。
隣のお姉ちゃん、いい感じで酒が進んでるし。私たちもそろそろかな〜〜、そろそろあのいつものワゴンが回ってきてくれるんかな〜。と思っていた矢先、ワゴンは来たのですが、通常なら1. おしぼりくれて、2. おつまみのスナックくれて、3. 飲み物聞いてくれて、それから 4.ご飯何がいいか、メニューを見ながら選ぶ。という流れじゃないですか?それなのに、いきなり箱を渡されたんです。
これ
開けてみると。
箱に続いて、ミニボトルの水をさらっと手渡され、次の列へ移動するフライトアテンダントの兄さん。
え?
これだけ!!?
でも、空港の店も全部閉まってたし、空港来るまで色々あってご飯食べてなかったから、めっちゃお腹空いてて、サンドイッチかじってみたんですが、冷たい、堅い、乾いてる。このディナー箱、冷蔵庫から出したてなのでしょう、めっちゃ冷えてる。冬やし、あったかいもん欲しい。。。
冷えすぎてて、何味サンドイッチなのか味がわからなかったので、パン自体をパカっと開いてのぞいて見てみても、やはり何なのかよくわからずに、またそっと閉じた。
ねえ、さっきどっかから、ご飯あっためてる美味しい匂いしたやん!あれ、もしかしてビジネスクラスだけ?!
しゃあない、じゃあビールかワインかなんかもらって飲んで爆睡しよう!と思いなおす。しかし待てども待てどもその後ワゴンは二度と回ってこやしない。。。がらんとした通路。電灯さえお休みモードになり、そっと一段階落ち始める。
おっと、これは不穏な空気。
そっと手元の呼び出しボタンを押してみて、フライトアテンダント兄さん来てくれたから、
「あの〜、その〜。。。もしかして、他の飲み物とかってあったりします?・・・ビール、とか・・・ワイン。。。。とか」とちょっと照れながら聞いてみたら
「コロナやから、ない。」
とコロナという2020年度ピカイチのパワーワードで押し切られました。
愕然とした私たちの表情を見て、
「水。やったらもう一本あげてもいいよ・・・」
とのフォローがきた。うむ。
ああ、めっちゃお腹すいたんですけど。隣のお姉ちゃん、なんとおにぎりまでカバンから取り出して食べてますやん。賢い!
このお姉ちゃん絶対帰りの便や